満開の桜が散り始め川面を花びらが流れる枝越しに待つ。列車の接近が見えないところで頼るは耳に入ってくるレール音のみ。花枝の隙間に収める一発勝負は緊張の一瞬だ。薄雲がかかって陰ってしまったのは ・ ・ ・ 風情ということにしようか。伝右川（でんうがわ）は綾瀬川の１５０メートルほど西側を流れる川というより掘割と言った方が良いような水路で、江戸の昔に現岩槻釣上新田の伝右衛門さんによって新田開発の農業用水として開削され、伝右衛門堀といわれていたことがその名の由来のようだ。殆ど勾配のない用水路を散り落ちた桜の花びらがゆったりと流れてゆく。

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